Google歴史アーカイブ:手塚治虫の資料、ネットで公開
■手塚治虫の資料、ネット公開
4月7日、手塚治虫の資料のコレクションが、「Google 歴史アーカイブ」(オンライン展示サービス)で公開されました。アトムの誕生日にあたる4月7日、「手塚治虫 テレビアニメ・黎明編」「手塚治虫 漫画の神様・復活編」「手塚治虫記念館」の3つの展示のほか、写真資料やイラスト、動画など、約170点の資料が公開されています。テレビアニメ元祖の業績が共有知として公開されたのです。新たな時代を迎えたといわざるをえません。
詳細はこちら。 http://tezukaosamu.net/jp/news/n_1402.html
貴重な資料を居ながらにしてみることができるのは研究者として大変、ありがたく、関係者の英断に喝采したい気持ちです。また、このようにしてネット上に資料を公開することによって、手塚治虫の業績がさらに広く、世界中で認識されていくでしょう。日本アニメの誕生を知ってもらういい機会になると思います。
たとえば、「手塚治虫 テレビアニメ・黎明編」で草創期、テレビアニメの制作に取組んだ手塚治虫の奮闘ぶりが写真や資料を通して伝えられます。若いころの手塚治虫、作業に励む手塚プロのスタジオ内部、『ある街角の物語』(1961年)の貴重な一カット、なども見ることができます。
1963年1月1日に放送開始された『鉄腕アトム』は、その第1話「アトムの誕生」の動画が公開されています。
その後の白黒アニメ『W3』そして、カラーアニメの『リボンの騎士』といった具合にアニメーション技術の発展過程も見ることができます。
『鉄腕アトム』で未来の生活を描いた手塚治虫は、『ジャングル大帝』で大自然の中で自由にクラス動物たちの世界も描き出します。さまざまな領域にチャレンジし続けた手塚治虫の姿を見ることができます。
■Google歴史アーカイブ
「Google 歴史アーカイブ」で公開されたので、いつでも自由に、パソコンの上で、上記の写真のように手塚治虫の制作に関する資料や写真を見たり、動画を視聴することができるのです。
著作権に縛られていれば、閲覧機会が少なくなり、幅広く知ってもらう機会を逃してしまいます。手塚治虫の場合、1989年に亡くなっていますから、氏の著作物の著作権保護期間は、現行法では2039年12月31日までということになります。とはいえ、このような形で公開されたことによって、現地に出向くことなく手塚治虫の世界に浸れることができますし、Googleならではのストリートビューで館内をめぐることができます。現在の技術を生かした展示といえるでしょう。(2014/4/8 香取淳子)