『宇宙戦艦ヤマト2199』の原画展が、4月22日から5月7日まで池袋西武デパートで開催されています。下の写真は会場付近の柱に張り付けられていたポスターです。
■画期的な作品だった『宇宙戦艦ヤマト』
1974年、テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』が放送されて以来、一気にアニメファンの年齢が上がりました。子ども向けのアニメから少年や青年が見て楽しめる動画になっていたからです。
その第1作をベースにリメイクされたのが『宇宙戦艦ヤマト2199』です。こちらは2013年4月7日から9月29日まで、全26話がMBS、TBS系列で放送されました。そのキャラクターデザイン、メカニカルデザインの原画展が今回、池袋西武で開催されているのです。
■いま見る『宇宙戦艦ヤマト』
『宇宙戦艦ヤマト』はそれまでの子ども向けアニメの概念を変えるような画期的な作品でした。いまなおファンが多いのはそのせいでしょう。とくに、メカニックなことに関心を寄せる少年、青年の心を捉えて離さなかったのです。
当時の作品を見ると、懐かしくなってしまうのですが、残念なことに、画質が良くないのでなかなか以前のようには引き込まれて見ることができません。高画質、高音声の視聴覚コンテンツを見慣れてしまったからでしょう、内容よりもまず、そのことに目がいってしまうのです。
たまたまYoutubeで当時の映像を見つけました。
第1作はこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=_-EXtvMwJoA
ストーリーはいま見ても、しっかりしていますし、キャラクターデザインもとても惹きつけられるのですが、画質、音声はやはり見劣りしてしまいます。改めてアニメがテクニカルな側面に支えられたコンテンツだということがわかります。
ただ、テクニカルな側面を向上させたとしても、ストーリーやキャラクターデザインに魅力がなければ、ファンを引き付けることはできません。
■『宇宙戦艦ヤマト2199』
それでは、『宇宙戦艦ヤマト』をベースに制作された『宇宙戦艦ヤマト2199』はどうなのでしょうか。動画を探してみました。
第1部はこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=2SdtTw-efCE
テレビの視聴率をみると、第1話が関東5.7%、関西5.9%、それ以降は2~4%だったといいます。これらの数字はそれほど高くないように見えますが、アニメでは1位~2位を占めていたようです。つまり、リメイク版も成功したということなのでしょう。だからこそ、劇場版が2014年秋に公開されることになったのでしょう。
■ファン層の成長
『宇宙戦艦ヤマト』はそれまで子ども向けというイメージだったアニメの認識を大きく変えました。当時、青少年にまでファン層を広げることになったのです。今回のリメイク版もその流れを引き継いでいます。青少年が抱くメカニックなものに対する関心に呼応しようとしたのでしょう、ポスターの絵柄も戦艦にスポットを当てた構成になっています。
原画展の会場で列を作っていたのは、中高年男性たちでした。アニメが時代のシンボルとして存在し、時代とともに息づいていることがわかります。娯楽の少なかった『宇宙戦艦ヤマト』から多様な娯楽があふれている今秋、公開される『宇宙戦艦ヤマト2199』がどの層にどのように受け入れられるのか、等々に注目したいと思います。(2014年4月30日 香取淳子)