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次世代に向けて:アニメ産業と教育の連携事業

次世代に向けて:アニメ産業と教育の連携事業

次世代に向けて:アニメ産業と教育の連携事業

■練馬区のアニメに対する思い

4月2日、練馬区のアニメ産業支援について、練馬区商工観光課長の吉田哲さんにお話をうかがいました。

練馬区は全国でも珍しくアニメ産業を積極的に支援している自治体です。3月には試行的な取り組みとして動画マンを対象にキャリアアップ講座を実施しましたし、例年、豊島園で「練馬アニメカーニバル」、大泉学園で「アニメプロジェクトin大泉」などのイベントを開催しています。アニメが区内の産業活性化や区のアイデンティティ確立、ブランド化に寄与することを目指し、練馬区はさまざまな興味深い事業に取り組んでいるのです。その象徴が練馬区公式アニメキャラクターの「ねり丸」で、「アニメ・イチバンのまち 練馬区」をアピールするために作成されました。

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練馬区が展開しているアニメ関連事業の中でもっとも興味深いのが、「アニメ産業と教育の連携事業」です。これは平成22年度から実施されている事業で、練馬区内の小中学校にプロのアニメーターが出向き、子どもたちにアニメ制作を体験させるというプログラムです。主に総合学習あるいはクラブ活動の時間帯に行われています。25年度は19の学校で延べ23事業が行われました。

■アニメ産業と教育の連携事業

実践してみると、当初の目的をはるかに超える効果が得られたといいます。子どもたちはこの事業によって、アニメ産業を理解し、キャリア教育を体験できただけではなく、アニメ制作の過程では仲間との協働作業を通して、協調や忍耐、責任といったことも学ぶことができたようです。一方、講師役を務めたアニメ事業者からは、子どもたちと直に接触することで、新しいインスピレーションを受け、創作意欲をかきたてられたと報告されています。

教育委員会とアニメ事業者とをマッチングさせ、一つの事業として結実させた自治体の成果といえましょう。先進的なこの事業は平成25年1月31日、第2回キャリア教育推進連携表彰で奨励賞を受賞しています。

詳細はこちら。http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/01/1330493.htm

また、平成25年2月19日、第3回キャリア教育アワードで大賞を受賞しています。審査会の主な評価をみると、以下の3点に集約されます。

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・地場産業を活かし「プロのすごさ」を子どもが間近に実感する機会を提供している。
・教員向けのガイドや研修会が充実しており、プログラムにも柔軟性があるため、学校が取り入れやすいプログラムとなっている。
・地域の中で、小学校から大学、企業、NPO等関係者が連携しプログラムを構築している。

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以上、詳細はこちら。http://www.meti.go.jp/press/2012/02/20130220004/20130220004-1.pdf

一連の流れを見ると、練馬区がアニメ産業と教育の連携事業を構想し、実践することによって、各方面に大きな効果をあげつつあることがわかります。ただ、教育は地道な作業ですから、着実に継続していくことがなによりも大切です。そうすることによって初めて、さらなる効果につながっていくのだと思います。今年度の事業も間もなくスタートします。子どもたちとアニメーターとの新たな出会いが始まります。

■取組のさらなる充実を

クリエイティブ産業は次世代産業の一つとされています。中小企業が多いとはいえ、多くのアニメ関連企業を抱えている練馬区はその点で、大きな潜在資産をもっているといえます。その潜在資産を着実に顕在化させていくための基盤の一つとして、人材育成に関する事業、キャリア教育に関連する事業が重要です。「アニメ産業と教育の連携事業」というユニークな取り組みのさらなる充実を期待しています。(2014/4/2 香取淳子)

 

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