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練馬区がアニメーターズ・キャリアアップ講座を開始。

練馬区がアニメーターズ・キャリアアップ講座を開始。

練馬区がアニメーターズ・キャリアアップ講座を開始。

■アニメーターズ・キャリアアップ講座の開始

3月9日、練馬区が参加費無料のアニメーターズ・キャリアアップ講座を開始しました。動画制作の技能を向上させるために、練馬区に在住あるいは在勤の新人動画マンを対象に、3月9日、16日、21日の計3回実施されるというものです。

毎回、講義と実技指導を組み合わせたカリキュラムになっており、フリーアニメーターの名和誉弘氏(9日、担当:動画検査)、プロダクションI.G.取締役の後藤隆幸氏(16日、担当:作画監督・キャラクターデザイン)、アニメ私塾代表の室井康雄氏(21日、担当:原画・絵コンテ・演出)などが講師を務めます。平成25年度の練馬区アニメ人材育成支援事業として企画されました。

詳細は  こちら。http://anime-cu.jp/

■離職率の高いアニメーター

安倍政権の成長戦略の一つとして位置づけられているアニメ産業ですが、その実態はきわめて脆いのです。中小零細企業が多く、経営基盤が脆弱なのです。はたして次代への備えはどうなのでしょうか。実際、アニメーターを志してこの業界に入った若者が次々と辞めているのです。

以前、この問題について調べて書いた文章があります。その一端を紹介しましよう。

「新人は動画担当を三、四年経験すると原画担当になっていくのだが、収入が少ないのでそれ以前に退職してしまう人が多いといわれる。その結果、動画のキャリアを積んだ人材が足りず、原画マンが慢性的に不足している。国内で仕事をこなせないから動画の多くは東南アジアなどに発注され、原画マンが不足するという悪循環から脱却できないのである」

(香取淳子「日本アニメを考える」『放送レポート』2013年9月号、p.35)

動画制作工程には以前からこのような大きな問題があり、いまだに解決されていません。ですから、今回、実施された練馬区のアニメ人材育成支援事業はまさにこの課題に焦点を当てて行われたものといえます。動画マンはアニメーターとしての出発点であり、キャリアパスの初期段階だからこそ、新人動画マンに対する教育支援が必要なのです。

■人材育成の必要性

練馬区には約90社のアニメ関連会社があります。いってみれば、アニメ産業は練馬区にとって地場産業なのですが、その多くが中小零細企業ですから、次代に備えて自前で制作環境の改善や人材育成を行うことは難しいのです。将来に対する備えがなければ、競争力を持ち続けることはできません。

グローバル化が進み、メディア環境が激変する一方で、日本では少子高齢化が進んでいます。それに伴って、さまざまな領域で国際競争力を失いつつあります。アニメ産業もその一つですが、今回の練馬区の支援事業がこれまで営々として築き上げてきた日本のアニメ産業を自治体が支えていくための一つのモデルとして、他にも広がっていけばと期待しています。(2014/03/20  香取淳子)

 

 

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