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29日

『アナと雪の女王』:最高の表現力と娯楽性

『アナと雪の女王』:最高の表現力と娯楽性

■多様な観客層

3月28日(金)、ふと思い立って、ユナイティッドシネマとしまえんに出かけました。ディズニーの『アナと雪の女王』(字幕版、13:40~15:40)を見てみようと思ったのです。上映スケジュールを調べると、字幕版が4回、吹き替え版が4回で、1日に8回も上映しているのはこの映画だけでした。念のため、29日(土曜日)のスケジュールを見ると、字幕版4回、吹き替え7回、30日(日曜日)は字幕版3回、吹き替え版6回でした。土曜、日曜はなんと11回、9回も上映されるのです。子ども連れが多いからか、吹き替え版が多く設定されています。これだけでも、この映画が日本でも大ヒットしていることがわかります。実際、開演直前の場内はほぼ満席でした。

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上の写真は上映40分前の売店前の光景です。字幕版のせいか、幼い子ども連れの姿はなく、10代から中高年層まで幅広い世代が観客層だということがわかります。

■白黒短編アニメと本編アニメ

本編の上映前に、白黒の短編アニメーション『ミッキーのミニ救出大作戦』が上映されました。子どものころ見たディズニー映画を思い出し、懐かしくなってしまいましたが、これはあっという間に終わってしまいました。次に、『アナと雪の世界』が始まったのですが、まず、実写よりもリアルに見える画面に見入ってしまいました。氷や雪、霜は実際にはあのようにはっきりと見えるでしょうか。そして、深みのある音響、心にずっしりと響きます。映像といい音響といい、否応なく作品世界に引き込まれてしまう技術力に驚きました。

主人公のアナやエルサの肌や髪の質感、一挙手一投足の動きも見事に表現されていましたが、顔のデザインには最初、やや違和感を覚えました。典型的な可愛さ、美しさでデザインされていなかったからです。ただ、見慣れていくうちに、とても魅力的に思えるようになりました。独特の顔つきだからこそ、アニメでありながら微妙な心理を表現することができ、キャラクターとしての奥行を感じさせることができたのだと思います。

登場人物の画像はディズニーの公式サイトで見てください。

詳細はこちら。http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/anayuki

手に触れるモノはなんでも凍りつかせてしまう魔力を持ったエルサ女王と妹のアナ王女。この二人を軸に、物語は展開されます。戴冠式の日、アナとエルサがちょっとした諍いをし、エルサの魔力のせいで王国が凍てついた冬に閉じ込められてしまいます。エルサは王国を去り、アナはエルサを追います。王国を冬の国から解除するにはエルサの魔力が必要だと思ったからです。

苦難の末、アナは北の王国にいるエルサに会うことができたのですが、エルサの魔力では王国を冬から解除することができません。「真実の愛」こそが解除できるということがわかり、アナはハンス王子との愛を示せば、解除できると考え、王国に急いで戻ります。ところが、彼はアナを利用しただけで愛していませんでした。アナを見捨てます。

■卓越した技術力

ハンス王子は戻ってきたエルサすら殺そうとします。エルサを助けようとしたアナが凍りはじめ、エルサは泣き崩れます。心底、妹アナを思う愛でした。その「真実の愛」によってアナは生き返り、王国も冬から解除されます。凍てついた氷の世界い色彩が戻っていくシーンが素晴らしかったです。

脇役として活躍したオラフ(雪だるま)、スヴェン(トナカイ)が作品に興を添え、音楽がとても素晴らしく、リズミカルでテンポがよく、大人も楽しめるアニメーション映画でした。見事なエンターテイメントになっていると思いました。氷や雪、霜といった白一色の世界、アナやエルサの折々の心理を反映させた顔の表情、いずれもアニメーションで表現するのはきわめて難しい領域だと思いますが、細部を微妙に描き分け、それを見事に表現していた技量を素晴らしいと思いました。

卓越した表現力と娯楽性に徹した作品づくりに圧倒されました。(2014/3/29 香取淳子)